大学院生の千葉さんが水面に浮かべるだけで熱源不要な「カーボンナノチューブ熱電発電デバイス」の開発に成功しました

大学院工学研究科応用理化学専攻2年次生の千葉知志さん(指導教員=工学部材料科学科?高尻雅之教授)らが、水面に浮かべるだけで熱源不要な「カーボンナノチューブ熱電発電デバイス」の開発に成功し、研究成果をまとめた論文が7月19日にオンラインジャーナル『Scientific Reports』に掲載され、科学新聞(8月6日)と日本経済新聞(8月13日朝刊)にも取り上げられました。

熱電発電デバイスとは、熱エネルギーを電気エネルギーに変換するデバイスで、熱電材料内に発生した温度差から電圧?電力を取り出すことができます。これまでは材料中に温度差を発生させるために、発電デバイスを熱源に取り付ける必要がありました。そこで、高尻教授の研究室に所属する千葉さんらは、筒状炭素分子「カーボンナノチューブ」の膜を使用したデバイスを作成。膜を載せる板に穴をあけ、水に浮かべた際にカーボンナノチューブが水に触れる部分と触れない部分を作り、温度差を生み出すことで熱源を必要としない熱電発電デバイスの開発に成功しました。このデバイスは、昼夜を問わず、水に浮かべるだけで安定した電力を得られることや、風?光量により電力が向上することも分かっており、今後はさまざまなIoTセンサの電源としての応用が期待されます。

千葉さんは工学部に在籍していた2年前からこの研究を開始。昨年度は澳门特区赌场_澳门英皇娱乐_彩客网官网推荐感染症の拡大を受け、キャンパス内への入構が制限される時期もありましたが、その期間にも関連の論文を読み込み、研究計画を練るなどして準備を重ねてきました。デバイスの開発に成功し、「多くの方から注目していただきとてもうれしい。今後はさらにデバイスの発電量が増やせるように研究を進めていきたい」と笑顔を見せています。また、研究をサポートした安間有輝さん(大学院工学研究科応用理化学専攻1年次生)は、「千葉さんの熱心かつ、丁寧に研究に取り組む姿勢はとても勉強になりました。私もカーボンナノチューブに関する研究に取り組んでいるので、その成果を論文で発表できるように努力していきたい」と話し、指導に当たる高尻教授は、「熱源を使用せずに、デバイス内で一定の温度差をつくり続けるにはとても高度な技術が必要で、素晴らしい研究成果だと感じています。千葉さんは研究室のリーダーも務めており、とても熱心に研究に向き合っていました。在学時はもちろん、大学院修了後もその姿勢を忘れずに、社会に役立つ技術開発を続けてほしい」と期待を語っています。