大学院工学研究科応用理化学専攻2年次生の鈴木さんが日本原子力学会新型炉部会優秀講演賞を受賞しました

大学院工学研究科応用理化学専攻2年次生の鈴木実さん(指導教員=原子力工学科?堺公明教授)がこのほど、日本原子力学会新型炉部会優秀講演賞を受賞しました。同賞は、日本原子力学会で講演された新型炉分野に関する優れた研究発表に贈られるものです。概ね40才までの個人(発表者:研究グループの中の代表者)が対象で、大学院生の受賞は2018年の同賞創設以来初となります。

鈴木さんは、「ナトリウム冷却高速炉における森林火災に対するCMMC法を用いた定量的リスク評価」と題して、同学会の2020年秋の大会で研究成果を発表しました。この研究は、世界的に開発が進んでいる次世代炉である「ナトリウム冷却高速炉」の周辺で森林火災が発生した際に、火災によって生じる温度上昇や煤煙がプラントに与える影響のリスクについて、連続マルコフモンテカルロ法(CMMC法)を用いて解析。消火活動や煤煙がプラント内に入るのを防ぐフィルタの交換といった対策の有効性を明らかにするとともに、ナトリウム冷却高速炉のように自然循環冷却に大気を用いるプラントでは周辺温度上昇への対策が重要であることを確認しました。

受賞について、「学部3年次生の夏ころから進めてきた研究が高く評価されて大きな達成感を得られました。この研究では、日本原子力研究開発機構の研究者の方の指導も受けながら進めてきたのですが、常に厳しい視点でアドバイスいただいたことで、一段も二段も上のレベルで研究する得難い経験を積むことができたと感じています。原子力安全の分野は現在、これまで想定外とされてきた事象に関する情報をできる限り多く集めて、定量的にリスクを把握して安全性を向上させることが求められています。大学院修了後は、多くの人の信頼を得て、これまで学んできたリスク評価の知識を生かせる仕事をできるようになりたい」と話しています。