大学院工学研究科の大学院生が日本機械学会の卒業研究コンテストで受賞しました

9月16日にオンラインで開催された日本機械学会機素潤滑設計部門の第26回卒業研究コンテストで、佐藤勇希さんと菊池飛鳥さん(大学院工学研究科機械工学専攻1年次生、指導教員=工学部機械工学科?落合成行教授)が最優秀発表賞を、飯田拓人さん(同、指導教員=機械工学科?甲斐義弘教授)が優秀発表賞を受賞しました。このコンテストは、全国の機械系学部の学生が4年時に行った卒業研究の成果を発表し、研究内容や予稿集原稿の完成度、質疑応答の的確さなどの観点から、優れた発表が表彰されるものです。

佐藤さんは、ガスタービンなどの回転部分に用いられ、液体が漏れるのを防ぐ非接触メカニカルシールを研究。発表では、メカニカルシール内部で起きている現状を可視化する技術を紹介し、潤滑部に極薄の膜と特殊なテクスチャ加工を施すことで可動部に過度な温度上昇が起きないようにする方法を提案しました。一方、菊池さんはディーゼルエンジンの排気ガスを尿素を使って浄化するシステムを研究。装置内部で起きている現象を高速度カメラで可視化する手法を提唱し、尿素の効果的な噴霧に役立つ表面テクスチャの形状を検討した結果を報告しました。また、飯田さんは、果樹農家の収穫作業の負担を軽減するサポートスーツを研究。電動の機構を一切用いずに、腕を上げた姿勢での作業時に体にかかる負担を軽減できる装置の開発に関する成果を発表しました。

佐藤さんは、「今回受賞できたことで、自分の研究発表がきちんと聴衆に伝わっていたのだと自信が持てました。研究室では、研究計画や実験の進め方などについて自分なりにスケジュールを立てながら毎週の報告会で結果を発表するスタイルが取られているので、自分で考え、行動する力がつくと実感しています。また結果を報告すれば先生や先輩からアドバイスや考察をもらえるため、着実に成長できると感じています。メカニカルシールは、可動部が滑らかに動く隙間を作りながらも液体の漏れを防ぐという、ある意味矛盾した目的を持っているところに面白さを感じています。今後は、挙動をシミュレーションできる解析プログラムも作成していきたい」と話しています。一方、菊池さんは、「受賞結果を聞いたとき、これまでアドバイスをしてくれた先輩方や落合先生に恩返しができたと胸をなでおろしました。研究室では、専門外の人にもわかりやすく研究成果を伝える方法を先輩たちが細かく指導してくれる環境があり、私自身1年前の自分の発表を見返したときに『これほど変わるのか』と思うほど成長を実感できています。現在手掛けている浄化システムは、実験のコツをつかむのが難しくなれるのに半年程度はかかる点が課題です。その改善に役立てるため、シミュレーション技術の開発も進めたい」と話しています。

また、飯田さんは、「研究の社会的な価値を認めていただいたことをうれしく思います。摘果用の機械は世界中で開発されていますが、日本では急斜面の山間部や狭い場所などに果樹園が立地していることも多く、従来の機械では作業従事者の負担を軽減できない課題があります。この研究を一歩でも先に進めることで、農業分野の発展に貢献できれば」と語っています。