「かながわの多文化共生に向けた地域社会づくり」をテーマに講演会を行いました

政治経済学部政治学科では7月10日に湘南校舎で、神奈川県文化スポーツ観光局国際課副課長の中尾淳氏による特別講義「かながわの多文化共生に向けた地域社会づくり」を行いました。2022年度から開講している「グローバル?ガバナンス論」の一環で実施したものです。

中尾氏は、これまで、NPO協働推進課、国際課、観光課などに所属され、数々の県民の生活支援に従事してこられました。そして現在は、文化スポーツ観光局国際課副課長として多文化共生社会の実現に向け、日々尽力されていらっしゃいます。

中尾氏は、まず神奈川に暮らす外国籍県民が非常に多く、都道府県別では東京都、愛知県、大阪府につぐ4位であることを話されました。その外国籍県民の国籍は、中国、ベトナム、韓国が多く、特に近年ベトナムの方が増えているとのことです。ベトナムの方が多く住む県営いちょう団地には、ベトナム雑貨店や、ベトナム語をはじめとする6か国語で書かれた看板などがあり、すでに神奈川県が多国籍?多文化社会の様相を呈していることを説明してくれました。

神奈川県は早くから、「民際外交」「内なる国際化」というキーワードで、国際施策を展開してきましたが、近年、人手不足を背景に日本政府が外国人を積極的に受け入れる方針へと転換したことに伴い、神奈川県でも多文化共生に向けた施策をさらに充実するようになったとのことです。 数ある神奈川県の取り組みの中から、代表的なものとして、多文化共生イベントの開催、多言語支援センターかながわの運営、医療通訳派遣システムの運営、地域日本語教育の総合的な体制づくりなどをご紹介くださいました。

講演の最後に、中尾氏は、「やってみよう!やさしいにほんごづくり体験!」というワークシートを学生に配ってくれました。そこには、日本の市民向けのパンフレットの表現を、外国人にもわかりやすい「やさしいにほんご」に言い換えるという課題が書かれていました。最初は「やさしいにほんご」って何だろうと、課題にちょっと戸惑った学生たちでしたが、中尾氏がヒントを出してくれると、すぐに平易な日本語表現を見つけることができました。外国人に対する気遣いと知識こそが、多文化共生社会実現への布石となることを感じさせてくれる体験でした。中尾氏の講演や課題を通じて、学生が多文化共生社会について理解を深めることができ、盛大な拍手とともに講演は終了となりました。