海洋学部の山田吉彦教授が日本外国特派員協会での記者会見で「石垣市周辺海域調査」について報告しました

海洋学部海洋理工学科海洋理工学専攻の山田吉彦教授が5月16日、東京?日本外国特派員協会で開かれた記者会見「Tensions around the Senkaku islands」に、自由民主党の稲田朋美衆議院議員(幹事長代理)、山田宏参議院議員と共に登壇。4月25日から27日にかけて、沖縄県石垣市から委託を受けて実施した同市周辺海域実態調査の結果について報告しました。調査は山田教授を中心に本専攻の馬塲久紀教授ら3大学4機関から研究者が参加。稲田氏をはじめとした自民党の議員連盟「尖閣諸島の調査?開発を進める会」に所属する国会議員4名と日本維新の会所属議員1名も同行しました。会見は、今回の視察の成果を発表すると共に尖閣諸島を巡る安全保障状況について論じることを目的としています。オンラインも併用され、各国の特派員をはじめ日本国内メディアの記者ら多数が参加しました。

会見では、まず稲田氏が議員連盟の活動内容や今回の調査への同行の背景を説明。山田氏も、12年前に実施された調査時と比較して環境変化が進んでいる現状や、中国海警局の船舶への海上保安庁の対応などについて説明しました。続いて山田教授が発表し、まず石垣市による調査や研究の狙いを説明。「尖閣諸島周辺海域における海洋環境調査を通じた研究者としての最終的な目的は、この海域に海洋保護区を設定するということになります。最も平和的にこの海域を守る、保護するためには、環境をテーマとして行政機関が動く必要があります。尖閣諸島は歴史的に見ても、国際法的にも日本の領土であり、 担当する行政機関がこの尖閣諸島をしっかりと環境的側面から調査し守っていかなくてはなりません」と指摘しました。続けて水温や塩分濃度などの基礎的な調査をはじめ、海中のプランクトン、水産資源、漂流ごみの状況といった調査の結果を報告し、「魚釣島には外来性のヤギが繁殖し、植物を食べることで土壌の崩壊を招いています。さらに、水源が減り、河川の水量も減少しています。尖閣諸島にはセンカクモグラ、センカクサワガニなどの希少種が生息していますが、プラスチック製品などの漂着も多く、植生に影響を及ぼしており、アホウドリの生息地でもあることから早急に上陸して調査する必要があります。石垣市は継続して調査を進める考えであり、所有者である国に上陸許可を求めていくことになります」と語りました。

質疑応答では多数の質問が寄せられ、稲田氏、山田教授が調査船の周囲を巡る中国海警局と日本の海上保安庁の船舶の位置関係などについて一つひとつ丁寧に回答。今後の調査の展開について問われた山田教授は、「将来的にこの海域において、国際的な海洋研究機関に所属する研究者を集め、 野鳥や緑地、生態系の研究が行われることが学術的にベストだと考えます」と話しました。