マイクロ?ナノ研究開発センターでは特許制度をテーマにした講演会を開催しました

マイクロ?ナノ研究開発センターでは5月31日に、湘南キャンパスで第73回講演会を開催しました。今回は東レ㈱知的財産部担当部長の皆川量之氏が「特許制度の概要と東レの特許管理」をテーマに講演。特許制度や国内外の知財訴訟、権利侵害?非侵害の考え方などを説明しました。

当日は、教職員や学生、学外の研究者ら約20名が聴講しました。皆川氏はまず特許について、「独創的な発明を文章で表し、公知文献と比較した上で新たな発明であると登録すること。文章化された発明に包含される他社の発明実施を一定期間排除することができ、期間中の独占権をインセンティブに発明の公開を促しながら、産業の発展を促進する制度にもなっています」と説明。特許要件や特許明細書の読み方について解説したほか、国内外の特許出願、訴訟事例を例示し、「特に中国は、特許?実用新案?意匠関連の民事訴訟件数世界一で、日本や欧米の企業が中国企業に訴えられて敗訴する事例も散見されます。中国企業同士でも世界的な訴訟合戦が発生しており、今後も侵害訴訟の増加が予想されます」と話しました。また、東レの特許管理方法について、技術領域ごとに特許問題のすべてに対して責任者を設定していることや関連する部署からメンバーを選定して行われる「特許会議」などの実例を紹介しました。

司会を務めたMNTCの喜多理王所長は、「大学の研究成果を社会実装していくためには特許制度への理解が欠かせません。一流企業の現場で活躍されている皆川さんのお話を聞くことができ、貴重な時間になりました」と話していました。