大学院工学研究科の王さんが構造工学シンポジウム(建築部門)で若手優秀発表賞を受賞しました

大学院工学研究科2年次生の王龍盛さん(指導教員=工学部建築学科?山本憲司教授)が、5月19日に発表された「第67回構造工学シンポジウム(建築部門)若手優秀発表賞」を受賞しました。4月17、18日にオンラインで開催された同シンポジウムの建築部門一般講演における学生?若手技術者などの優れた発表を選考し、構造工学分野の活性化を促すとともに、若手による学会活動を奨励することを目的とした賞です。今回は5名が選ばれました。

王さんの発表テーマは「引張ブレースで補剛された格子シェルの座屈解析」です。柱のない大スパンを屋根で覆う場合、鉄骨のシェル構造がよく用いられます。鉄骨シェルの曲面は、通常、剛性を高めるために三角形の網目で構成されます。一方で、二方向の格子材によって曲面を構成し、それぞれの格子に引張ブレースを配置した格子シェルは、ブレースが圧縮抵抗できないために耐力の低い構造と考えられてきました。しかし、王さんは山本教授らとともにこのシェルの挙動を詳細に分析し、一見役に立っていない引張ブレースが崩壊挙動時には力を負担することで、実際には高い耐力を持つ優れた構造であることを明らかにしました。

王さんは「学部生時代から取り組んできた研究が認められたことを大変光栄に思います。山本先生に教えてもらいながら自分で組んだプログラムは、プレストレスの値など状況を変えて解析し、結果が目に見えて変化していくところに面白さを感じています。あまり目立たない研究分野ではありますが、今回の受賞が建築を目指す高校生に興味を持ってもらえるきかっけになれば」と語ります。山本教授は、「王さんは非常に熱心に研究に取り組み、シンポジウムでもわかりやすく説明したことが受賞につながったと感じています。引張ブレースで補剛された格子シェルを実際の設計で使えるようにさらに研究を続け、成果を出してほしい」と期待を寄せました。