川崎市市民ミュージアムとの連携事業「被災資料レスキュー」を実施しま

教職資格センターでは9月13日に湘南キャンパスの松前記念館で、川崎市市民ミュージアムとの連携事業「被災資料レスキュー」を実施しました。川崎市市民ミュージアムは2019年に発生した台風19号の被害で収蔵品の一部が浸水。水損紙資料の洗浄や乾燥などの復旧作業に取り組んでおり、今年8月からは本センターが開講する「博物館実習2」の松前記念館における実践実習として、学芸員を目指す学生たちが協力しています。 

初めに、川崎市市民ミュージアムで学芸員を務める谷拓馬氏と学芸補助の菊池悠介氏が、被災後からこれまでの経緯や洗浄作業の工程、注意点などを解説しました。学生たちは谷氏と菊池氏、篠原准教授による指導を受け、ハガキや薄い和紙などの紙資料を洗浄。紙資料を2枚の網で挟み、水を張った容器の中で付着している汚れやカビなどを除去し、吸水シートで水気を拭き取った後に資料を扇風機で乾燥させました。谷氏は、「洗浄してもらった紙資料は水損紙資料の一部であり、今年の10月で被災から2年が経ちますが、資料の復元は終わりが見えていません。今後もレスキュー活動に協力していただきたいと考えています。また、実際に触れたことで、通常の資料と被災資料は状態や取り扱い方が大きく違うことが分かったと思います。どのような資料も『大切に扱う』という点は変わらないので、学芸員を目指す皆さんはそのことを忘れないようにしてください」と語りかけました。 

学生からは、「最初は劣化や汚れを見て判断することが難しかったけれど、何回も洗浄するとカビの臭いや水の汚れも確認できるようになっていきました」「実際に作業したことで、簡単に崩れてしまう紙資料の扱い方を学べました。1枚洗浄するだけでもたくさんの工程があり、被災した資料すべてを洗浄するには時間がかかる大変な作業だと感じました」「事前研修で被災した収蔵庫などを見学していたので、被害がどれほど甚大であるかを体験的に学ぶ貴重な機会になりました」といった感想が聞かれました。 

本センターの朝倉徹所長は、「被災資料に触れる機会はなかなかないので、学生たちにとって貴重な経験になったと思います」とコメント。篠原准教授は、「博物館の現場が抱えている課題や問題を当事者として感じてくれたのではないかと思います。今後もの連携事業を継続し、文化財だけでなく復興の流れを学ぶ機会となることを期待しています」と語りました。?