大学院理学研究科化学専攻の三神さんによる2件の論文が生化学?生物学学術誌に掲載されました

大学院理学研究科化学専攻1年次生の三神留美さん(指導教員=理学部化学科?荒井堅太講師)が執筆した2件の論文がこのほど、生化学?生物学学術誌『Biology』と『ChemBioChem』のオンライン版に掲載されました。『ChemBioChem』では、論文の関連図が今後発刊される紙媒体の表紙に選ばれています。

『Biology』に掲載された論文「Abnormal Enhancement of Protein Disulfide Isomerase-like Activity of a Cyclic Diselenide Conjugated with a Basic Amino Acid by Inserting a Glycine Spacer」は、アミノ酸が多数連なったポリペプチド鎖が生理活性なタンパク質へと組織化する反応「フォールディング」を補助する有機触媒の合成と応用方法をまとめています。三神さんは、一昨年度に本研究科を修了した大学院生が取り組んでいた同様の研究に参画していたことから、その実績をベースにしてフォールディングをさらに効率化させる有機触媒の合成を成功させました。また、『ChemBioChem』に掲載された論文「S-Denitrosylase-Like Activity of Cyclic Diselenides Conjugated with Xaa-His Dipeptide: Role of Proline Spacer as a Key Activity Booster」は、体内におけるフォールディングの失敗(ミスフォールディング)を阻止する阻害剤の合成について執筆。ミスフォールディングが起きると構造成形不全のタンパク質が細胞内に沈殿?沈着し、アルツハイマー病などの神経変性疾患を引き起こすとされていることから、今回の研究成果は医薬品開発への応用などにも期待されます。

三神さんは、「初めて執筆した論文ということもあり、最初はなかなか掲載に至らず試行錯誤してきました。学部生のころから学術誌の表紙を飾ることが大きな目標だったので、うれしい気持ちでいっぱいです。学んできた化学の知識や技術を生かし、たくさんの人を幸せにしたいという思いで研究に取り組んでいるので、これからも多くのことを学んで吸収し、実験に向き合っていきたい」と笑顔を見せました。荒井講師は、「2件の論文が学術誌に掲載されたことはとても誇らしいことであると同時に、三神さんのこれまでの努力を考えると、なるべくしてなった結果だと感じています。“やればできる”ということを、身をもって体現してくれました。後輩たちにもいい刺激になると思います」と称えました。

『Biology』オンライン版
https://www.mdpi.com/2079-7737/10/11/1090/htm

『Chem Bio Chem』オンライン版
https://chemistry-europe.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/cbic.202100394