航空宇宙学科の水書教授が火薬学会の論文賞を受賞しました

工学部航空宇宙学科航空宇宙学専攻の水書稔治教授がこのほど、火薬学会の2021年度論文賞を受賞しました。火薬に関係する科学や技術に関する顕著な研究成果を論文誌に発表した研究者らに贈られるものです。5月25日には、学会賞受賞者による記念講演がオンラインで行われ、水書教授が講演しました。

水書教授は、衝撃波や爆風が構造物や人体に与える影響を可視化し、科学的に分析する技術について研究しています。今回の受賞の対象となった「デトネーション駆動による爆風模擬と爆風効果の4次元可視化計測」では、爆風や衝撃波によって脳や臓器に障害が生じる「爆傷」のメカニズムを流体力学的観点から研究するための実験装置「デトネーション駆動型ブラストシミュレーター」を提案。さらに、マイクロ秒(100万分の1秒)単位の時間間隔かつサブミリメートル(10分の1ミリメートル以下)単位で爆風の影響を計測できる「4次元可視化計測法」を実現し、衝撃波が人体内部に伝播し、組織に影響を及ぼす流体力学的なメカニズムの解明にとって大きく貢献できる新しい計測方法を確立させました。

「学生をはじめこの研究に協力してくれたすべての方々の尽力があったからこそ受賞できたもので、あらためて感謝いたします。近年、外傷を伴わない程度の衝撃波でも脳や組織に悪影響を及ぼす可能性があるとわかっており、医療の分野でも注目されています。しかし、現段階では衝撃波の大きさとの関係やメカニズムなどは解明されていません。これまでの研究では流体力学の見地から影響の一端を明らかにできており、今後は衝撃波が体内でどのように作用するかをシミュレーションする技術や、より人体に近い大きさで計測できる大型の装置を開発し、医療の発展や人々の生活に役立つ成果を上げていきたい」と話しています。