理工系学部の学生が新東名高速道路の建設現場を見学しました

建築都市学部土木工学科の杉山太宏教授と藤原覚太助教の研究室と、工学部機械システム工学科の木村英樹教授と佐川耕平講師の研究室などに所属する建築都市学部、工学部、情報理工学部の計11名が3月3日に、2027年の開通を目指してNEXCO中日本が建設を進めている新東名高速道路の山北町?松田町区間を見学しました。

このイベントは、2022年4月に開通した新東名高速道路の伊勢原大山IC~新秦野ICの開通式でソーラーカーがデモ走行を行うなど、NEXCO中日本と本学がこれまで築いてきた協力関係があり実現したもの。この分野に関連する学生たちに、壮大なスケールで展開される工事の現場を体感してほしいという思いで企画しました。今回訪れた工事現場は山間部に位置することから、大学所有のマイクロバスで移動。一行はまず、「山北PR館」でNEXCO中日本の木次克彦さんから「河内川橋」の周辺状況や完成予定後の姿についてVR(仮想現実)を用いた説明を受けました。また、地上から120mの高さにある建設中の橋脚に上り、軽量化のために鉄骨とコンクリートを複合化したバランスドアーチ型の橋梁を見学し、「これだけの巨大な橋を誤差1cm 程度以内の高い精度で建設している」との説明に学生たちから驚きの声が上がりました。また、「河内川橋」の現場では本学を25年前に卒業した大塚康晴さん(鹿島建設)が現場で指揮を執っており、多くの本学卒業生も工事に携わっていると紹介を聞きました。杉山教授は、「教員として活動を始めたころの学生が、大きなプロジェクトで活躍してくれて大変誇らしい」と話していました。

次に建設中の「山北スマートIC」へ移動し、最新のICTを積極活用した建設現場を見学。日々変化する地盤の状況をドローンによる点群測量により監視することで、正確に地盤沈下状況を把握していることや、大型ブルドーザーに取り付けられた高精度GPSで数㎝オーダーの凹凸を検知し、オペレーターが整地作業を行うといった高精度な作業に成功しているとの説明を受けました。参加した梅田雄大さん(工学部電気電子工学科3年次生)からは、「建築の分野と情報の分野が既にここまで連携していることに驚いた。これから勉強することが実際にどのように活用されるのか見学できよかった」と語っていました。

 最後に、松田町の寄(やどりき)で建設が進む「中津川橋」の工事現場に移動しました。寄の現場は断層が縦断しているため、橋脚がその上に重ならないよう慎重に地盤調査を行って建設地を決定したとの苦労話を聞きました。また、橋脚剛性を保ちつつ軽量化を達成するために、高強度繊維で補強されたコンクリート複合材(バタフライウェブ=蝶形の軽量パネル)を採用した吊り橋構造が採用されたとの説明を受けました。一連の見学を通して、槇谷有美さん(工学部土木工学科3年次生)は「普段、利用している高速道路では見ることができない建設過程を見学でき、とてもよい経験になった」と話していました。木村教授は「起伏の激しい区間でありながら勾配を2%以内に収める高い技術は、走行する車両が排出するCO2の大幅削減を可能にしています。教室の中だけでは経験できない実際の現場を見学することは重要です」と語っていました。