医師で小説家の南客員教授の講義「病とともに生きる高齢者から学んだこと」を実施しました

健康学部健康マネジメント学科では、本学医学部卒業生で医師?小説家の南杏子客員教授による講義「病とともに生きる高齢者から学んだこと~誰もが長生きを喜べる社会に~」を、11月29日から12月3日にかけてオンラインで配信。「高齢者と福祉」の授業を履修している学生、約180名が視聴してレポートを作成し、12月8日の授業で中野いずみ教授が講評しました。

南客員教授は病とともに生きる高齢者の実例として、脱水と低栄養になって病院に運ばれた90歳A子さん、脳梗塞で左半身麻痺になった82歳B雄さん、アルツハイマー型認知症を発症した85歳C美さんについて医療体制などを説明。加齢によって要支援?要介護になる可能性が高い状態を「フレイル(虚弱)」と呼び、足、口、頭の衰えがその原因になると解説し、「長生きの結果、生命活動を終えるのは自然な現象です。足、口、頭の衰えは誰にでも起きることであり、限界を受け入れ、現状に即した対応が最終的には患者さんのためになります。老衰を前提とした医療、介護、生活が、患者さんを笑顔にし、老衰死を支える環境になります」と話しました。また、社会の役に立っていると感じられる「貢献寿命」を伸ばす必要性や、長生きを喜べる社会づくりの重要性について語り、「介護を受ける不安を解消する仕組み、要介護状態でも楽しめる環境、迷惑にならないシステム、感謝される環境の機会をつくることで貢献寿命を延ばすことができるのでは」とまとめました。

聴講した学生たちはレポートで、「治療によって元の元気な姿に戻ることを祈ってしまいますが、その環境が患者さんを苦しめる原因になることもあると分かりました。笑顔で残りの時間を過ごせるようにすることが、医師、看護師、家族にとっても一番いい方法なのだと感じました」「高齢者にとって残された時間をいかに幸せに過ごせるかが大切であり、最先端医療を駆使して長生きすることではない、お別れの仕方がとても重要という言葉が印象に残りました」と感想を述べていました。12月8日の授業では、中野教授がこれらのレポートの内容を紹介し、オンラインで受講している学生も交えて終末期医療や寿命の価値、寿命の長さでは推しはかれない人生の豊かさなどについて意見交換しました。