医学部付属病院が大規模災害発生を想定した院内災害対応訓練を行いました

医学部付属病院が10月から11月にかけて4日間にわたり、大規模災害の発生を想定した院内災害対応訓練を行いました。本病院は神奈川県の災害拠点病院に指定されており、災害時には重症?重篤な傷病者を受け入れるなど、地域の医療救護活動における中心的な役割を担っています。訓練は、災害医療対策マニュアルに基づく対応と関係機関との連携強化を目的として、「災害拠点病院?DMAT小委員会」が主体となって企画。首都直下型地震(マグニチュード8.2、最大震度7)の発生で県西部から東部を中心に県内全域が被災し、富士山の噴火により広範囲での降灰が予想される事態を想定して行いました。

10月13日の勉強会を経て、11月6日には「災害対策本部?トリアージエリア机上訓練」を実施。渡辺雅彦病院長を本部長とする災害対策本部の下、事務職員はスタッフの安否確認や人員配置の調整、ライフラインの確保、物資の調達といった管理統括部門における初期対応をシミュレーションし、医療従事者らは傷病者の受け付けから、重症、中等症、軽症に分けるトリアージ、重症度別診療エリアでの受け入れ、入院?手術の調整といった流れを確認しました。

24日には21時の地震発生を想定し、院内における災害対策本部の設置?運営、各病棟?セクションによる被害状況報告書の提出といった、発災直後の対応を確認する「被災状況報告訓練」を実施。翌25日の「多数傷病者受入訓練」には教職員約90名が参加し、医学部の学生ら約50名が模擬患者役としてボランティアで協力しました。参加者は、心停止や意識不明、骨折などの重症患者をはじめ、糖尿病や認知症といった既往症を持つ者、妊婦など多様な傷病者らに対応。模擬患者役を務めた学生たちは、苦痛を訴える患者や泣き続ける幼児などをリアルに演じ、訓練に貢献しました。医学科の学生は、「災害発生直後における医療?救護の一連の流れや多職種の連携について、医療を受ける側の視点から学べてよかったです」とコメント。看護学科の学生は、「看護職の役割の多様さを認識しました。患者さんの不安や孤独も体感できたので、看護する側になった際に生かしたい」と話していました。

終了後はチームごとに訓練を振り返った後、参加者が講堂に集合して情報を共有。渡辺病院長は、「今回、明らかになった課題を解決するとともに、行政や近隣医療機関との連携による多様な災害レベルを想定した訓練を実施する必要があると考えています。ぜひ、今日の経験を各職場で共有してください」と講評。最後に、災害拠点病院?DMAT小委員会の青木弘道委員長(医学部医学科講師)が、「机上訓練の成果を生かしてスムーズに模擬患者の対応でき、災害医療に対する皆さんの意識もより高まってきたと思います。全職員が緊急時に適切な対応ができるよう、災害医療対策マニュアルを充実させていきます」と述べました。

また、24日と25日には本訓練と並行し、神奈川県主催「澳门特区赌场_澳门英皇娱乐_彩客网官网推荐5年度関東ブロックDMAT訓練」も伊勢原キャンパスで行われました。本病院高度救命救急センターのスタッフら10名をはじめ、関東ブロックの医療機関から15チーム約80名が参加。県相模川以西区域におけるDMAT(災害派遣医療チーム)とDPAT(災害派遣精神医療チーム)の活動拠点本部の設置?運営や各病院からのチームの受け入れ、ドクターヘリによる患者移送訓練などに取り組みました。