SDGsへの取り組み紹介「次世代の高効率?低コスト薄膜太陽電池」

SDGsとは「Sustainable Development Goals」の頭文字をとった言葉で、直訳すると「持続可能な開発目標」という意味を表します。2015年9月に開催された国連サミットにおいて採択され、2030年までに世界が目指すべき17のゴール(目標)が掲げられています。

日本のエネルギー供給率は石油、液化天然ガス、石炭の割合が多く、近年では再生可能エネルギーの割合が増えています。特に太陽電池は、風力発電や地熱発電などと比較して急速に普及率が上がっています。しかし、現在普及しているシリコン型太陽電池は生産コストが高く、住宅用のパネルの重さは100kg以上の重量があり、古い建物では耐震性などに悪影響をもたらす可能性があります。そこで理学部化学科の冨田研究室では、軽量かつフレキシブルな樹脂製の太陽電池の作製を目標として、太陽電池のエネルギー変換効率を上げる研究を行っています。

太陽電池はSDGsの目標のうち、7番「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」と9番「強靭(レジリエント)なインフラ構築、包括的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」に相当します。
冨田研究室でもこの2つの目標を意識した取り組みを行っています。
ペロブスカイト型太陽電池と呼ばれる新しい薄膜太陽電池は、シリコン型太陽電池に匹敵する高いエネルギー変換効率をもち、薄く軽くフレキシブルで使いやすいことに加え、製造に必要なエネルギーが小さいという利点があります。一方、長期の利用では劣化が生じることや、発電層に鉛を用いることが大きな課題となっています。化学科ではこれらを解決できる新しい作製技術や、より簡便な条件で作製できる手法に関する研究を行っています。
研究を通して、化石燃料に代わるクリーンなエネルギー源として環境汚染や地球温暖化を軽減することを目標として、日々の実験に取り組んでいます。