医学部医学科の佐藤教授が日本再生医療学会総会市民公開講座で「細胞シートを用いた変形性膝関節症の再生医療」を紹介しました

医学部医学科の佐藤正人教授(外科学系整形外科学領域)が、3月23日に新潟市で開催された第23回日本再生医療学会総会市民公開講座「再生医療の『臨床研究』とはどういうことか~患者?社会とともに新しい医療を創る『思い』」に登壇。日本医療研究開発機構(AMED)などの支援を受けて研究開発を進め、医学部付属病院において世界で初めて実施した「細胞シートを用いた変形性膝関節症の再生医療」について、臨床研究に協力して治療を受けた2名の患者さんと共に紹介しました。

再生医療は、細胞などを利用して臓器や生体組織の損なわれた機能を再生させる医療です。効果が継続して根本的な治療になる可能性を持った、新しい医療として注目されています。健康保険の適用になるまでには、安全性や有効性を確認した上で臨床研究として実際に患者さんに施術し、さらに綿密な検証が必要になります。この公開講座は、再生医療の現状や臨床研究に参加した患者さんの思いを知ってもらうため、一般社団法人日本再生医療学会が企画したものです。

前半は、同学会理事長で慶應義塾大学教授の岡野栄之氏が、「これからの再生医療:幹細胞を用いた脊髄損傷の再生医療の開発を例として」と題して基調講演。後半は、同学会理事で藤田医科大学教授の八代嘉美氏をオーガナイザー、千葉大学准教授の東島仁氏をインタビュアーに、「再生医療?臨床研究に参加するとは?」をテーマとした患者さんへのインタビューが行われ、佐藤教授はコメンテーターをとして登壇しました。

佐藤教授は初めに、O脚などの骨の変形を矯正する高位脛骨骨切り術と併用し、膝の傷んだ軟骨に細胞シートを移植して再生させる変形性膝関節症の治療法について説明。続いて、健康保健適用の最終段階として厚生労働省「先進医療B」に承認された自己細胞シート(※1)による再生医療を受けた森田周子さんと、臨床研究中の同種細胞シート(※2)による再生医療を受けた志甫信之さんが、術前術後の思いや現在の膝の状態などについて語りました。

志甫さんは、「佐藤先生から治療や研究に関する丁寧な説明を受け、“自分がこの医療を受けることが誰かの役に立つ”と考えて決断しました。術後4年が経過した今も日常生活に不自由はありません。多くの人がこの医療を受けられるようになってほしい」とコメント。森田さんは、「変形性膝関節症の治療法についてインターネットなどで調べ、佐藤先生の再生医療を知りました。リハビリには努力が必要でしたが治療後のトラブルもなく、この医療を受けられた自分は幸運でした。治療の選択肢が増えることは素晴らしいと思います」と話しました。

これを受けて佐藤教授は、「患者さんからの生の声は本当に励みになります。今後はリハビリテーションの方法についても研究し、患者さんが社会復帰するまでの負担の軽減も図っていきます」と語りました。最後に八代氏が「患者さんの悩みや困りごとを共有することはとても大切だと感じました。これからも患者さんの思いに耳を傾け、患者さんと一緒に新しい医療をつくっていきたいと思います」と結びました。

※1「自己細胞シート」=患者さん自身の軟骨細胞を培養して作製したシート
※2「同種細胞シート」=乳児の多指症手術時の廃棄組織から採取した軟骨細胞を培養して作製したシート

なお、軟骨再生医療の詳しい情報は下記のURL、二次元コードからご覧いただけます。

整形外科領域 軟骨班HP
 「澳门特区赌场_澳门英皇娱乐_彩客网官网推荐における軟骨再生医療」

 http://cellsheet.med.u-tokai.ac.jp/