西伊豆町による「伊豆ヘルスケア温泉イノベーションプロジェクト(ICOIプロジェクト)」に協力しています

体育学部とスポーツ医科学研究所では10月7日に、静岡県西伊豆町で「温泉を利用したトレーニングによる筋疲労、自律神経系活動及び唾液バイオマーカーの変動に関する研究」の一環として実証実験を行いました。体育学部では、今年9月に西伊豆町と「スポーツによる地域振興にかかわる連携に関する覚書」を締結しており、同町に広がる豊かな自然や温泉地の活用に向けて、本学部の知見も加えた新たなアスリート支援プログラムや地域振興策の開発を進めています。

今回の実証実験は、西伊豆町が昨年度に静岡県が推進する温泉研究拠点創出を目指した「伊豆ヘルスケア温泉イノベーションプロジェクト(ICOIプロジェクト)」の採択を受けて展開している、町営の温泉プールを利用した新たなスポーツ合宿プランの開発を支援するものです。温泉は古くから療養や健康維持?増進の目的で利用されており、その効果?効能は一般に知られています。一方で、スポーツ分野における積極的な利用は検討数が少なく、アスリートを対象として温泉を利用したトレーニングが心身に及ぼす影響を検討した研究もあまり行われていないのが現状です。実証実験では、スポーツ医科研の山田洋所長と山田クリス孝介准教授が中心となり、実際にアスリートに温泉を利用したトレーニングに取り組んでもらう中で、自律神経系活動や唾液バイオマーカーの変動等を調査し、アンケートも用いて検討することで科学的な根拠(エビデンス)を明らかにすることが目的です。

7日には、同町が運営する宿泊施設「やまびこ荘」の温泉プールに、同町と連携した活動にも取り組むジャパンラグビーリーグワン「静岡ブルーレヴズ」の選手が来訪。山田クリス准教授の説明に続いて、温泉プールでの水中ウオーキングやヌードルと呼ばれる浮きを使ったリラクゼーションに臨み、ポイントごとに血圧測定と唾液の採取を行いました。山田クリス准教授は、「水中歩行等で体を温めた後、リラクゼーション系の動きを取り入れることで、温泉プールによるリカバリーの効果を測る狙いです。今後は、ブルーレヴズの選手たちが試合前に追い込む激しいトレーニングの際にも同様の測定を行い、体の負荷が少ないトレーニングとの比較に取り組んでいく計画です。温泉の効能検証は難しい面もありますが、静岡県、西伊豆町と連携し、温泉施設のアクティブリカバリーへの活用を目指していきます」と話しました。また、山田所長は、「本検証は今後、湘南キャンパスで活動する運動部の選手たちにも協力してもらうなどサンプル数を増やしていきます。研究の学術的成果を広く発表し、温泉のPR活動の一助になれば。ほかにも体育学部を中心として幅広い連携活動にも取り組む考えです」と展望を語りました。